私事だが7月4日は父の命日。
父は尾崎豊が好きだったので、家に「十七歳の地図」のアルバムがあった。
家の中や車の中で流れていたので、何をせずとも私は覚えた。
運良く声質が合ってたのか、カラオケで尾崎豊を歌ってそこそこの評価をもらえることがあり、社会生活に身を置く中でとても役にたった。
父から学んだというか、もらったものなんだろうと考えると尾崎豊の十七歳の地図。
代弁者
特にセンチメンタルな話をするわけじゃないので、父の話はこれで終わり。
尾崎豊は若者の代弁者と評されることが多いが、私に言わせれば大人の代弁者。
もっと言えば日本人の代弁者。
子供の頃は歌詞に何か思うことなんてなかったが、30歳過ぎて歌詞の凄さに驚く。
人間がなんたるかをわかってないとあんな歌詞にならんのだ。
生意気なことを言うと私は、30歳過ぎてやっと人間がなんたるかをやっと少しわかりかけてきた。
そんでもって、わかりかけない方が気楽に生きられたんだろうなぁと思う。
尾崎豊は26歳でこの世を去る。
若くして若者と大人と社会をあんなにも理解をしてたのかと思うと、恐ろしい。
才能なのか努力なのか。
「15の夜」なんて若者の気持ちを歌った曲だが、きちんと大人がどんなものなのかをわかってないと、背景として出てくる大人の描写がふわふわする。
若者から見た大人の描写じゃなくて、社会にいる大人として描かれていると思える。
他の曲も深いのでなく、人間の理解がしっかりしている。
ありきたりだけど、今生きてたらどんな歌詞書いてたんだろと興味が尽きない。
残念ながらそれはどうやっても叶わないことなのだけれど。
歌の表現力なんて別にいらないと思ってた
久々に十七歳の地図聴いた。
めっちゃ歌上手いわ、尾崎豊。
凄さが今になってわかる。
なんか歌えてた気になってた文章書いてた自分超恥ずかしいわ。
尾崎豊はとんでもなく高音ではない。
一見すると歌いやすい印象もあるのだが、表現力が凄い。
昔は、表現力なんてそれっぽさを言いたい人の言葉だと思っていることもあった。
たまに尾崎豊の歌が薄っぺらいとかいう意見も聞く。
意見はそれぞれだからなんとも言い難いが、私にとっては分厚いわ。
もはや辞書よ辞書。広辞苑。
気持ちを込めれば上手く聴こえるわけでもなく難解、だからこそ凄いわ。
「傷つけた人々へ」
「十七歳の地図」の収録曲で一番好きな歌。
歌詞が好きなのと、尾崎の曲にしては珍しく要所要所にかわいいイントネーションというか、かわいい尾崎が聴ける貴重な曲。
この曲の歌詞は楽しい気持ちの歌詞ではないのだけれど、歌うと曲調が楽しくてアンバランスな感じが絶妙にバランスを取れていて面白い曲。
CDでしか知らない尾崎豊
私が物心つく前には尾崎豊は亡くなっていた。
だから私はCDでしか尾崎豊を知らない。
巡り会えてよかった。
それは間違いなく父親のおかげである。
感謝。
その思いが彼に届いているかなんてのはわからないけれども。