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実況者になりたかった

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はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

 

2005年、私は大学生になった。

生まれて高校卒業まで栃木県で過ごし、大学入学と共に神奈川県で一人暮らし。

特別な夢もなく、学校では社会福祉を学びレポートを書く日々。

時間は山ほどあったから苦ではなかった。

勉強はほどほどにやった。

サークル、先輩や同期と遊んだり、読書、パチスロ、ひたすら寝る。

山ほどあった時間はこんなことに使っていた。

この時代に何か夢を持っていたら…なんて考えることがないわけではない。

だが、「これはこれで良い経験だったんだ」「いや、何かに情熱を注いで身になってたかもしれない」と堂々巡り。

 

2007年、大学三年生になった。

相変わらず夢はないが時間はある。

何か面白いことはないかとネットサーフィンする日々。

そう思ってると急に面白いものが見つかるものだ。

 

ニコニコ動画」 

動画の中に視聴者のコメントが流れてくる。

なんだこれ、面白い。

妙な一体感と独特のノリ。

部屋の中は私一人、なのに大勢の人と一緒に動画を見ている感覚、安心感。

ニコニコ動画にハマった私は「ゲーム実況動画」をひたすら見ていた。

「しんすけ」「ルーツ」「イボーン」「Revin」といった有名実況者の動画を見ながら、楽しくも羨ましかった。

私のやりたかったことがこういうことだったのだろう。

面白さの実力勝負をして、承認欲求を満たす。

こんな楽しいことはない。

だが、憧れはありつつも自分が実況者になることはなかった。 

 

好きな実況者がいつからか生配信を中心に活動をし始めると私もそれを視聴していた。

生配信は今まで見ていたニコニコ動画とはまるで違った。

チャット画面があり、リアルタイムのコメントで配信者が反応してくれる。

一体感がより一層増した。面白すぎた。

 

ニコニコ動画も生配信も結構な時間を費やして見ていた。

そんな膨大な時間の中でコメントをすることはなかった。

たった一度を除いて。

 

唯一のコメント。それはRevinさんの配信だった。

漫画の「HUNTER×HUNTER」やプラグラミングの「Java」の話をしていた。

チャット欄もその話題に合わせたコメントが並ぶ。

普段コメントなんてしないのだが、頭に浮かんだワードを見て欲しいのとこれを打ち込んだらどうなるのかという興味が私を駆り立てた。

馴染みのない操作をしてEnterキーを押した。

 

「久々にJavaの肉をつかめる」

 

コメントがRevinさんに読み上げられた刹那、彼に「ふふふふふふ」と笑いが溢れる。

受けた。

チャット欄も湧いた。「www」とたくさんの草が生えた。

Javaの肉の人好きだわ」というコメントもあった。

ゾクゾクした。嬉しかった。

承認欲求が凄まじく満たされると同時にこの評価を守りたいためにこれ以上コメントすることはなかった。

 

その後は、私生活が忙しくなるのと同時に好きだった配信者が引退してそれぞれの道を歩み始めていき配信を見ることはなくなった。

だが、落ち着いたわけではない。

2007年からずっと心にある憧れ。

「自分もあのような活動がしたい」という想いは抑えきれていない。

いつか実現するのか、想いを心に持ったまま人生の終焉を迎えるのか。

未来のことはまったくわからないが、なぜかワクワクする。

なんでだろう。